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成分表示の真実を知りたい

近年、基礎化粧品の分野では、プラセンタに限らず、ヒアルロン酸やビタミンCなどの成分について、
ラベルや広告に「原液」「100%」「高濃度」の文字を見かけることが多くなりました。

どれもみな、成分が濃いこと、たっぷり含まれていることをイメージさせているように思えてしまいますが、
本当に「濃い」のでしょうか。また、濃ければ効果的、濃い方がお得なのでしょうか?

今回は「原液」の意味を考えながら、本当に良い製品を選ぶ手がかりを探ってみます。

「原液」の示す範囲は幅広い

「原液」と聞くと、一切何も混ざりものがないというイメージを抱く人も多いでしょう。
しかし、例えば清涼飲料水の「原液」には、砂糖や酸味料、スパイスなどたくさんのものが混ざっていますよね。

実のところ「原液とはこういう製造物を指す」という決まりはないのですが、
化粧品の場合は「単一の原材料から抽出した成分」とイメージされる場合が多いようです。

そう、イメージの問題なんですね。 もう一つ、100%という表現が使われることもあります。
例えば、ヒアルロン酸やコラーゲンが100%であるとすると、これは粉末などの固形物になります。

100%に近いコラーゲンといえば、製菓材料で良く使われるゼラチンパウダーもそうです。
では、プラセンタの100%となると……? そう、肉や血液のかたまりやその乾燥させたものになってしまいます。

ですから、原材料のみ100%の化粧品はあり得ないといっても良いくらいで、
精製水やアルコールなど何らかの液体で希釈(薄める)必要があります。

「高濃度」って、何を基準に比べているの?

「原液」や「100%」に比べて薄いようなイメージのある「高濃度」という表現ですが、これもまたわかりにくい表示の一つ。
元の基準があいまいなので、「当社従来製品との比較」といったような説明が追加されている場合が多いのです。

基本的に濃度の基準となるのは、そのメーカーが使っている原材料の薄め具合によると考えられます。
ところが、その原材料自体にも濃い薄いがあるんです。

わかりやすく説明すると、胎盤と水だけでプラセンタエキスを作るとします。
胎盤50gに対して水を100cc入れて煮出す場合と水300ccの場合では、当然、濃度が違います。
でも、このどちらも「原液」といえますし、これだけで製品を作れば、どちらも「原液100% と言えてしまいます。

また、100ccの水で煮出したエキスAと、300ccの水で煮出したエキスB、
それぞれ同量を同じ化粧水原料100ccに混ぜて作った場合、エキスAで作ったものの方が濃くなります。
ところが、エキスAもエキスBも化粧水という最終製品においては、「原材料液50%」となるため、
まるで同じ濃さのように見えるのです。

こうなってくると、もう何が何だかわからなくなりますよね。

そもそも、濃いこと=良いことなの?

確かに、プラセンタ配合を謳っているのに、実際に含まれているのはほんのわずかで、
効果があるとは思えない製品も存在します。

一度でもそんな経験をすると、「効果が感じられなかったのは濃度が薄かったからかもしれない」と考えて、
より高濃度の製品や「原液」を求めてしまうのですね。

しかし、実際には濃度が濃ければ良いというものでもありません。
特にプラセンタの場合は、原料が生物そのものの臓器ですから、濃ければ濃いほど腐敗しやすくなります。
腐敗防止のためには防腐剤の添加が必要になりますが、防腐剤の成分によっては、肌への刺激が強くなってしまうのです。

また、成分が濃くなることで浸透度がアップするかというと、そういうことでもありません。
原材料と精製水、防腐剤だけでは、肌への親和性を高めるのにも限度があります。
それよりも、肌になじみが良く、変質しにくく、刺激の少ないことを念頭に設計されたものの方が、
濃度以上に良心的な製品づくりという場合もあります。

ですから、原材料は濃ければ良いというわけではないのですね。

賢い選択のために、チェックしておきたいこと。

最後に、プラセンタ「原液」「100% と書かれている製品のチェックポイントを、整理してみましょう。

・「原液」に厳密な定義や決まりはない
・原材料段階から「濃い原液」も「薄い原液」も存在する
・プラセンタは原材料比で濃いほど品質管理が難しくなる
・防腐剤が増えると肌荒れの原因になることもある


いかがでしたか?

今まで何となく選んでいた基礎化粧品の「原液」「100%」というキャッチフレーズは、実はこういうことだったんです。
こうして考えてみると、あまり効果の感じられない「原液製品」よりも、
プラセンタの力を最大限に引き出せる設計で配合された基礎化粧品の方が、あなたにとって良い選択かも知れません。

濃厚そうなイメージだけで「効果がありそう」と衝動的に飛びつかないで、
成分表示をしっかりと確認しましょう。

そして、本当に自分の肌が求めている製品を選んでくださいね。